望月窯だより

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 母が大事にしていた藤を花が咲かないまま、手入れの余裕もなく面倒で、毎年伸びた蔓を無造作に切り詰めていた。数年前に思い立って、駐車場に続く私道の脇に蔓を這わせることにした。手入れをしても花が咲くことはなかったので、花の時期も気付かずに気にもとめていなかった。ところが、今週の初めに訪れて帰宅するとき、家の周りを見回っていたら、なんと藤の花房が垂れ下がっているのが目に留まった。
「咲いた、咲いた。藤の花が咲いた」
 私は思わずカメラを取り出してシャッターを切った。曇っていたのでうまく撮れなかったが、この次訪れた時にはもう花は終わっているだろう。今度からもっと丁寧に世話をしようと心に決めた。