ひぐらしの記
前田静良 作
リニューアルしました。
2014.10.27カウンター設置
スポーツがもたらす美的風景
2月26日(月曜日)、デジタル時刻は4:53。私は腹立ちまぎれに起き出している。何たる悪天候続きだ。季節は、春待ちの人間を虚仮(こけ)にしている。私自身にかぎれば、とりわけひどい仕打ちを被っている。季節狂いのせいで、風邪をひいてしまったのだ。
このところの私は、「卓球・世界選手権団体戦」(韓国・釜山)にかかわるメデイアの記事の引用文にすがって、長い文章を書いている。引用文と言っても、それだけをポッと、移記するわけにはいかない。その前後には、いくらかの文章を付け足さざるを得ない。そのこともあって、わが凡庸な脳髄は疲れている。
卓球自体はすでに決勝戦を終えて、選手たちは母国へ帰還を始めている。おのずから私は、今回の世界大会の記事の引用は、(もう打ち止め)と思っていた。ところが、きょうもまた私は、引用文にすがっている。いや、どうしても引用したくなっている。なぜなら、風邪の症状などそっちのけにして、わが心の和む記事だからである。私はこんな記事に出遭いたくて、あらゆるスポーツのテレビ観戦に興じている。言うなれば、スポーツ競技のもたらす美的風景、テレビ観戦の醍醐味である。
「中国の選手が撮っているのが微笑ましい」 日本―中国戦後に生まれた“友好の1枚”に広がる感動【世界卓球】(2/25・日曜日、19:33配信 THE ANSWER、写真:ロイター)。世界卓球団体戦(韓国・釜山)は24日、女子決勝が行われ、日本が5連覇中の絶対女王・中国と対戦し、53年ぶりの世界一まであと1勝に迫りながら逆転で、2-3で敗れた。5大会連続の銀メダルとなった。ワールド・テーブルテニス(WTT)は試合後、表彰式で撮影された“友好の記念写真”を公開。「中国の選手が撮っているところが微笑ましい」「なんて素敵な写真なんだ!」などと日本ファンから多数の反響が集まっている。【画像】。
「中国の選手が撮ってるのが微笑ましい」「スポーツの素晴しさ凝縮」 日本×中国の決勝後に撮影されていた“友好の記念写真”日本が歴史的大金星までわずかに及ばなかった試合後、表彰式でメダルを授与された4か国が仲良く記念撮影を行っていた。互いを称える雰囲気が写真でも伝わってくる。
自撮りをしていたのは金メダルを獲得した中国・王芸迪。白い歯を見せたその後ろに、中国代表の監督、選手が並んで笑顔で座っていた。さらにその背後には早田、平野、張本、伊藤、木原と渡辺監督が、獲得した銀メダルを手に嬉しそうにカメラに見せていた。隣には、銅メダルだったフランスと香港の選手たちの姿も。試合が終われば互いに切磋琢磨する仲間たち。爽やかなシーンだった。
写真を投稿したワールド・テーブルテニス公式X(旧ツイッター)は「これらの笑顔が全てを物語っている」とこの場面を文面で表現。激闘を終えた女子たちの姿に注目していた。日本ファンも感動した様子のコメントを寄せている。「選手が互いをリスペクトする精神、感動しました」「いい写真だ。スポーツは素晴らしい!」「中国の選手が撮っているところが微笑ましいです」「試合中とは別人だわ」「激しく争うライバル同士だけど、試合が終われば、みんな仲良し」「うわー!なんて素敵な写真なんだ!」「いい写真は何度見てもいい写真」「こんなスポーツの素晴しさが凝縮された良い写真ってある?」
優勝には惜しくも届かなかったが、日本の選手がプレーとその振る舞いでファンを沸かせた今大会。最後も気持ちよく締めくくられたようだ。素晴らしい写真をここに張り付ける技術をもたない私は哀れだ。現在、5:28。
文章の途中立って、私は枕元に置く市販の風邪薬を取り出し、蛇口をひねり服んだ。引用文はありがたいものである。僅かな時間の書き殴りで済んだ。ゆえに、風邪は長引きそうにない。だけど、甘えてはならないと、自分自身を戒めている。やがて夜明ければ、季節狂いのきょうの天気が気になるところである。
わが涙腺が緩んだ、「感動きわまる敗戦」
2月25日(日曜日)。「あすも、卓球のことを書きそうである」。この予告にしたがって私は、きのう「卓球・世界選手権団体戦」のことを書く。これまで、このことに関して何度も書いてきたことは、きょうで書き止めである。実際にはわが文章はそっちのけにして、手っ取り早くメデイアが伝える引用文にすがっている。それでも、その前には心中に浮かべていたことを書く。それはあらゆる戦いにつきまとう、勝敗を分ける常套語であった。もちろん、わが生涯学習における現場主義のおさらいである。
戦争における勝ち負けの表現は、おおむねこれ一辺倒しか浮かばない。すなわち、勝てば戦勝(国)、負ければ敗戦(国)である。敗戦に対しズバリ、勝戦とは言わない。数々、浮かべていたことは、スポーツの試合における勝ち負けの表現だった。これには試合の内容に応じて、勝ち負けを表す様々な表現がある。私はそれらのいくつかを浮かべていた。
辛くも勝つ(辛勝)、惜しくも負ける(惜敗)、快い勝ち方(快勝)、惨めな負け方(惨敗)、木っ端みじんに打ち負かす(完勝)、ぐうの音も出ない負け方(完敗)、などなどである。これらの中から選べば、きのうの決勝戦における日本の女子チームは惜敗、対する中国チームは辛勝だった。以下は、メデイアの伝える引用文である。
【世界卓球】日本女子、53年ぶり世界一ならず涙 中国と歴史的激闘の末…悔し銀メダルも大健闘に会場拍手(2/24・土曜日、23:42配信 スポニチアネックス)。卓球・世界選手権団体戦第9日(2024年2月24日 韓国・釜山)。女子決勝が行われ、日本は2-3で中国に敗れ、5大会連続の銀メダルとなった。日本は張本美和(15=木下グループ)、早田ひな(23=日本生命)、平野美宇(23=木下グループ)でオーダーを組み、伊藤美誠(23=スターツ)と木原美悠(19=木下グループ)が応援に回った。1番手で世界16位の張本は同1位・孫穎莎に挑戦。世界女王に食い下がったが、0-3でストレート負け。2番手の世界5位・早田は、同3位で東京五輪金メダリストの陳夢を逆転の3-1で下し、1-1のタイに戻した。世界18位の平野は世界ランク2位・王芸迪にストレート勝ち。2-1として、第4試合の早田につないだ。第4試合は早田と孫の日中エース対決。第1ゲームは2-11、第2ゲームは巻き返しを見せたが7-11と連続で落とした。第3ゲームは一進一退の攻防の中、力を振り絞ったが6-11でストレート負けを喫した。2-2で15歳・張本に命運が託された。最終決戦に臨んだ張本は東京五輪金メダリストの陳夢と対決。第1ゲームを11-4で先取すると、第2ゲームではラリーの応酬の中で、7-11でタイとなった。第3ゲームは攻め込んだが8-11で落とし逆転を許した。それでもサーブを工夫するなど相手を揺さぶるなど奮闘。第4ゲームを落として万事休した。重圧の中で戦って敗れた張本。試合後、早田らチームメートに抱きしめられて涙をぬぐった。それでも最強・中国を相手に堂々のプレーを見せた。手に汗握る激闘を展開した日本チームに会場からは大きな拍手や歓声が贈られた。
負けても勝ってもスポーツの試合には涙腺が緩む感動がある。ところが、戦争の勝ち負けは、共に涙が尽き果てた残酷さばかりである。
春の足音を聞きながら「冬ごもり」
2月24日(土曜日)、夜明けまではまだ遠い3:42、パソコンを起ち上げて眺めた時刻である。起き出してくると私は、雨戸開けっ放しの前面の窓ガラス際に佇み、一基の外灯が灯る道路を見た。雨は降りやんで、雨の跡は薄れて、かなり乾きはじめていた。しかしながら現在、寒気は取り残されて、わが身体はブルブルと震えている。一方、精神は破れたゴム風船のごとくに、ペシャンコになっている。
2月の末近くにあって、このところのような天候不順は、わが記憶にない。換言すればたぶん、初体験である。とりわけきのうは、一日じゅう小雨まじりの酷い寒気に見舞われた。据え置き型のガスストーブは、熱気を飛ばし続けていた。しかし私は、茶の間のソファに背もたれて、これまた一日じゅう身を竦(すく)めていた。窓ガラスを通して眺めていた外の様子は、小雨が降り続ける寒々しい風景だった。この風景がわが身を竦め、縮(ちぢ)こませていたのである。現在の寒気は、きのうの延長線上にある。寒気に慄いて、駄文を綴る価値(甲斐)があるであろうかと、自問を試みる。答えは、綴る価値は無さそうである。そうであればこのところ書き続けていた「卓球・世界選手権団体戦」(韓国・釜山)における、いまだ途中結果のことを記して、再び布団の中へ潜ることにしたのである。
日本の男子チームは、「パリ、オリンピック」の代表権を得たのちの宿敵・中国戦において敗れて、すでにトーナメント戦から姿を消して、メダルには届かずじまいである。一方、女子チームは、きのうの準決勝戦の対香港戦に勝利し、きょうの決勝戦へ進み、銀メダル以上を確定した。決勝戦の相手チームは、戦前から闘争心を剥き出しにしてきているこれまた中国である。日本の男女チームは共に、中国チームを倒すことを宿願にしてきた。なぜなら中国は、長年揺ぎ無い卓球王国である。それゆえに日本チームは男女共に、中国に勝たなければ世界制覇、すなわち頂上にはありつけない宿命にある。手許の電子辞書を開いた。「宿願:年来の願い。宿命:前世から定まっている運命」。わかりきっているこんな言葉はどうでもいい。卓球においては男女チームを通して、中国に勝つことはもはや日本国民の宿願でもある。いやいつかは、宿命と言える日が訪れるであろうか。あえなく、男子チームはすでに敗れた。ところが、女子チームはきょうの決勝戦へ勝ち進み、念願の中国チームと相まみれる幸運にありついている。
日本のサッカーの代表チームは「なでしこ」であり、すると卓球の場合は、「なでしこ娘」でいいだろう。そして、今夜の私はテレビ観戦(声援)を通して、なでしこ娘の健闘に釘付けとなる。まさしく熱闘、熱々(アツアツ)に恵まれて、寒気が遠のくこと請け合いである。あすも、卓球のことを書きそうである。
きょうのわが夫婦には、卓球クラブの練習へ行く予定がある。しかし、あいにくの雨降りと寒気に出遭えば、茶の間のソファに背もたれて、「冬ごもり」を続けることとなる。あな! 恨めしや。
天皇誕生日
「天皇誕生日」(2月23日・金曜日、64歳)。天皇陛下には現人神(あらひとがみ)という尊称がある。しかし、神様ではない確かな証しには、天皇陛下も私同様に年齢を重ねられる。誕生日にはご家族そろって、祝膳を囲まれる。ところが私と異なるのは、誕生日にあっては国民にたいし、かつては勅(みことのり)を、現在はお言葉(コメント・メッセージ)を述べられることである。このしきたりにしたがって今回も天皇陛下は、記者会見を通してすでに国民たいしメッセージを述べられている。
天皇陛下のお言葉には例年、ご誕生日近辺における日本社会の世情、この一年において日本社会に起きた出来事で気に留められたこと、そしてご家族の近況などがある。この文章は、記者会見にまつわる記事を一部引用しながら書いている。すると天皇陛下は、今回は会見の冒頭に能登半島地震にたいするご心痛を露わにされている。それは亡くなられた方への哀悼、遺族や被災された方々へのお見舞いの言葉として述べられている。さらには、被災地の復旧、復興も願われている。そして、「ご訪問できるようになりましたら、雅子と共に被災地へのお見舞いができればと考えております」と、被災地訪問の意向を示されている。
日本社会の出来事で気に留められたことでは、若い世代の活躍として、これらを述べられている。スポーツの世界で野球のWBCでの日本代表チームの優勝や、米国メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手の満票でのMVP選出、将棋の藤井聡太さんが史上初の8冠を達成したことを上げ、「若い世代の人々が、日々の努力の積み重ねにより新たな世界を切り開いていく姿は、私たちに明るい夢と希望を与えてくれました」。ご家族のことでは愛子さまの日赤へのご就職、そして皇后陛下・雅子さまの岩手県や北海道、鹿児島県、石川県への訪問、さらにはインドネシアへの訪問を喜ばれている。
天皇誕生日の天候は、「あいにく真冬並みに寒さ」と、きのうの気象予報士は告げている。天皇陛下ご一家の、この先の安寧なお暮しを願うところである。わが脳力の衰えは日々自覚できるけれど、認知症への罹患は自覚できず、他人様の言葉や動作で知覚するだけである。
このところのわが文章には、やたらミスが目立っている。脳力の衰えのせいと自覚しているけれど、他人様は認知症の兆しと思われているかもしれない。春先の天候不順は、夜明けにあって身に堪える寒さである。
文中の誤りを訂正し、お詫びいたします
「パリ・オリンピック」の開催を来年と書き続けてきました。このことに際して、「ひぐらしの記」ではお馴染みの渡部さん(埼玉県所沢市ご在住)から、「パリ・オリンピックは、今夏では?」という、ご指摘をさずかりました。
渡部さんは、会社同期入社の仲間のおひとりです。こんなことでは飽き足らず、友情を超える渡部さんの優しさを付加いたします。一つには渡部さんは、毎朝「ひぐらしの記」を読んでくださっています。ところが、私がずる休みをした翌日にはパソコンメールで、私の体調を案じてくださっています。同時に、わが身に余る激励を賜っています。これに応えて私は、潮時と決めていた文章を書き続けてきました。そのうえにこのことは、渡部さんからだけ賜り続けているものです。
渡部さんは「ひぐらしの記単行本、創刊号から直近の第90集」にたるまで、有償ご購入にさずかっています。これらのことを記して、渡部さんのご指摘の御礼にかえたいと思います。誤りはご常連の各位様にたいし、謹んでお詫びいたします。
気象の「どんでん返し」を食らっている
2月22日(木曜日)、現在のデジタル時刻は、3:57と刻まれている。パソコンを起ち上げる前に、カーテンと窓ガラスを開いて、雨模様を確かめた。一基の外灯は、ピカピカと道路の濡れ光を照らした。雨は止んでいる。ところが、外気の冷たさに身震いし、慌てて窓ガラスを閉めて、二重のカーテンを重ねた。「寒いなあー」と、言葉が出た。
パソコンを前にして椅子に座った。ご常連の人たちから、「おまえは、嘘つきカモメだ」と罵られて、大目玉を食いそうである。やおら、パソコンを起ち上げた。真っ先に、きのう書いた『冬の出口、春の入り口のさ迷い、わがさ迷い』を読み返した。不断の私は、書いた文章の読み返しはあまりしない。ところが、きのうの文章が気になっていたのである。なぜなら、その文章の中で、こう書いていたからである。気になる文章の復元はこうである。【きのうは春姿というより夏姿さえ、まったく異常に感じられないほどの気温の高さとポカポカ陽気だった。夜明け前にあって気温が高く、わが身体はまったく寒気を感じない。ところがきのうの気象予報士は、この先には気温の低い寒気が訪れと告げた。だとしたら、「冬の出口、春の入り口のさ迷い」であろうか】。
文章の中の「この先」は、あまりにも短い「時」だったのである。寒気の緩みに浮かれていた私は、気象の変化に度肝を抜かれた。きのうはほぼ一日じゅう小雨が降り続き、つれてすばやく寒気が戻った。外れればいいのに、「真冬並みの寒気になります」という気象予報士の予報は、ズバリあたったのである。私には、気象予報士はしたり顔にほくそ笑んでいるように見えていた。雨は止んでいるけれど、寒気は取り残されて、居座ったままである。思いがけない寒気を食らい、身体は震えて長居は無用である。だから、文章の尻切れトンボを恥じず、ここで書き止めである。
ここ二度ばかりの文章の付け足しは、あっぱれこのニュースである。現在、行われている「卓球、世界選手権団体戦」(韓国・釜山)において、日本の男女チームはきのうの試合において共に勝利した。その結果、来年行われる「パリ・オリンピック」における団体戦の代表権を得たのである。対戦国とスコアを記すとこうである。女子チームはクロアチアに3-0、男子チームはオーストリアに3-0、共にストレート勝ちだった。トーナメント戦にあって決勝戦までは、試合はまだこの先へ続いて行く。日本の男子チームはきょうには中国戦、ブロックを異にする女子チームは決勝戦まで勝ち残り、決勝戦では一方から勝ち残ってきそうな中国との対戦を望んでいる。
付け足し文に助けられ、寒気を撥ね退けて、わが気分はいくらか和んでいる。朝日が昇り、暖気を含む夜明けはまだ先である(5:10)。
「冬の出口、春の入り口のさ迷い」、わがさ迷い
2月21日(水曜日)。パソコンを起ち上げて、心中にはこんな思いをたずさえている。文章書き、まったく素人の私には、烏滸(おこ)がましい思いである。恥を晒しても、忍んで記してみる。
文章の出来不出来を起因するものはこうである。先ずはテーマ、すなわち題材、内容、私がよく使うズバリ、「ネタ」の良し悪しである。次には、ネタにそう文意(筋立て)の巧拙である。最後は、筋立てに見合う適語(語彙)選びである。私の場合、文章を書くたびに、この流れに苦悶と呻吟を被っている。これまでは書くまでもない、寝起きの戯言(たわごと)である。
さて、きのうから一気に気温が高くなり、昼間の買い物にあっては、身体のあちこちが汗ばんだ。(しまった! 三枚重ねの着衣を、一枚脱いで来ればよかった)。後悔、先に立たず。私は、心中にこんな悔いごとを浮かべていた。街中の中年女性のひとりは、スケスケにも見える肌着のような長袖一枚を身に着けて、大らかに闊歩していた。きのうは春姿というより夏姿さえ、まったく異常に感じられないほどの気温の高さとポカポカ陽気だった。夜明け前にあって気温が高く、わが身体はまったく寒気を感じない。ところが、きのうの気象予報士は、この先にはまだ気温の低い寒気が訪れと告げた。だとしたらきのうの高気温は、「冬の出口、春の入り口のさ迷い」であろうか。つれて、わが身体もまたさ迷っている。
私はこの二日、引用文にすがった。いや、助けられた。どちらも、現在行われている「卓球、世界選手権団体戦」(韓国・釜山)に絡む記事からの引用だった。引用を試みた趣意はこうである。おとといの引用文では、完封(11-0)にまつわる、暗黙のルールの存在における、喧々諤々の賛否両論をのぞいた。1点ぐらい、わざと負けてやるのが相手に対する優しさであろう。いや、共に真剣勝負の試合だから、わざと負けるのは相手にたいし失礼であろう。私の場合は、後者の意見に賛成である。
きのうの引用文には、ふたつのわが思いがあった。対戦相手のブラジルチームの3人編成は、日系人姉妹選手そして隻腕(片腕)の選手だった。それゆえに私には、どちらにも応援したくなる心情が沸き立っていたのである。とりわけ、片腕の選手の健闘・奮戦ぶりとこれまでの努力には、称えて咽(むせ)ぶものがあった。どちらも、気に留めた引用文だった。
なんら、繋がりのないきょうの文章はここでおしまいである。文章に四苦八苦するは、わが生来の「身から出た錆」である。幸いなるかな! 気温高く、現在の私には、寒気に対する嘆きはない。
再びの引用文、感動編「才能を超える努力」
2月20日(火曜日)。寒気が緩み暑苦しくて、冬防寒重装備(着衣)の上一枚の防寒コートだけは脱ぎ捨てたくなっている(4:17)。きのうはかなりずる賢い引用文で、継続文の足しにした。ところが、きのうに続くきょうの引用文は、わが感動をお裾分けする思いがほとばしり、やまぬやまれぬものがある。「努力に勝る天才なし」。まさしく私は、「才能を超える努力」の証しを観たのである。
きょうの引用文はきのうに続いて、現在行われている「卓球・世界選手権団体戦」(韓国・釜山)にまつわる記事からである。ブラジルチームは、日系人姉妹、ジュリア・タカハシ選手とブルーナ・タカハシ選手、そして引用記事にかかわるアレシャンドレ選手の編成で、日本チームに臨んだ。日本人の私とて、応援せずにはおれない他国(ブラジル)のメンバーだったのである。
【世界卓球】ブラジル女子隻腕選手に称賛の声!平野に敗戦もネット「感動」「応援したくなる」(2/19・月曜日、21:52配信 スポニチアネックス)。韓国・釜山で行われている世界卓球選手権は19日、団体戦女子1次リーグ第4戦で日本(世界ランク2位)がブラジル(同25位)を3―0で撃破。注目の“全勝対決”を制し、4戦全勝オールストレート勝ちで首位通過が確定。ネット上では隻腕(片腕)選手として知られるブラジル代表アレシャンドレ(28)のプレーが反響を呼んだ。隻腕のアレシャンドレはパラ五輪東京大会女子シングルス(立位10)で2大会連続の銀メダルを獲得した有力選手。次のパリ大会では五輪とパラリンピックの両方の出場を目指し、ブラジル代表ではタカハシ姉妹に次ぐ“3番手”として今大会に参加した。この日は第3試合で平野美宇(23=木下グループ)と対戦。鋭い回転をかけたサーブなどで善戦するも0―3とストレート負けを喫した。それでもネットからは「アレシャンドレ選手スゴいな。なんか感動したわ」「左手1本で世界卓球戦ってるのスゴすぎ」「カッコいい。まるで卓球漫画のよう」「五輪とパラ両方を目指すなんて……応援したくなる」と話題沸騰。他にも「世界にはまだまだ知らない凄い人が沢山いるな」「パラリンピックの選手がトップレベルの健常者といい勝負出来ることが素晴らしい」「敵国ながら尊敬します」「なんか勇気がもらえました」と様々な反応。特に片手でラケットにボールを乗せて器用にサーブを打つ場面に「アレシャンドレ選手のサーブがカッコイイ」「あんな風に片手で打てるものなのか」「片手でボールを投げてすぐに打つなんてスゴすぎる」「一体どうしたらあんな芸当が出来るのか」と反響があった。
終始、感動に身震いし目頭が潤み、テレビ観戦を続けていた私は、不断のわがマイナス思考が途轍もなく惨めで哀れに思えていた(4:57)。
余儀ない「引用文」
2月19日(月曜日)。所要あって朝駆けで東京(品川)へ向かうため、余儀なく休むつもりで寝ていた。ところが、いつもの習性で目覚めてしまった。仕方なく起き出して来て、これまたいつもの習性にしたがい、パソコンを起ち上げている(2:46)。睡魔は去っているけれど、脳髄は空っぽであり、心身共に文章をものする態勢にはない。そうであればと、3度目のいつもの習性にすがった。すなわち、ヤフーニュース項目の一覧の瞥見である。その魂胆はわが文章は止めて、継続文の足しになる記事を探そうという浅ましさだった。
きのうの夕方5時あたりから、延々と9時近くまで、私は現在行われている「卓球・世界選手権団体戦」(18日、韓国・釜山)のテレビ観戦に心身を埋めていた。この戦いには男女共に、来年の「パリオリンピック」における団体戦の出場権がかかっている。ゆえにきのうは共に負けてはならない、4チームが戦うグループ戦の第3戦目であった。グループ戦はあと一試合を残す4戦目があり、これに勝てばトーナメント戦へ勝ち進むこととなる。
グループ戦は3人で5戦が組まれていて、3勝すればチームの勝利となる。男子は苦戦しながらも3-1で、台湾チームに勝利した。続いて登場した日本の女子チームは、初出場の南アフリカチームと戦い、こちらはあっさりと勝利した。ようやく、この文章の狙いにたどり着いた。以下は、日本の女子チームにまつわる引用記事である。
【卓球界の暗黙ルールは消えたのか 木原美悠、平野美宇が11-0で完封ゲーム かつては1点与えることがマナー、モラルと言われた時代も】(2/18・日曜日 21:13配信 デイリースポーツ)。女子1次リーグ第3戦が行われ、日本は南アフリカを3-0で下し、3連勝を飾った。格下相手の戦いで気になったのが、第1試合に登場した木原美悠がパテル相手に第1ゲームを11-0で完封し、第2試合の平野美宇もサスマンを相手に第1ゲームを11-0で完封したことだ。第3試合の早田ひなは3-0でストレート勝ちしたが、完封勝ちのゲームはつくらなかった。かつては10-0になった段階でサーブミスや故意にミスショットするなどして、相手に得点を与えるのがモラル、マナーとされてきた時代があった。SNSでも「0点いつからオッケーになったの?」「暗黙のルールは古すぎる」「しかし11-0はすごい」「強すぎる日本」「1点与えるのがマナーってのもどうなのかな 相手に失礼じゃないかい?」といった反応が集まり、「ラブゲーム勝ちは反則負けが正式ルール」といった書き込みもあった。木原美悠は11-0、11-3、11-6でストレート勝ち。平野美宇は11-0、11-1、11-1と相手に2点しか許さない完璧な内容。早田ひなも11-1、11-2、11-1と付け入るスキを与えなかった。日本は19日の1次リーグ最終戦でブラジルと対戦する。
「らくちん」と思っていた引用文だったけれど、思いのほか時間のかかる、骨の折れる作業だった(3:28)。
速めぐる歳月日時、それにぐるぐるつきまとう妄念
2月18日(日曜日)。寒気は緩んでいる(4:33)。このことだけには、気分が和んでいる。しかし、これから書くことには、気分が沈んでいる。2月は余すところ、11日にすぎない。歳月は脱兎の如く、速足で逃げて行く。挙句、私は日々身を竦めている。抗ってどうなることでもないことゆえに、私は愚か者である。それでも、わが身に堪えている。
起き立てにあって私は、こんな自問自答を試みていた。若い頃と違って、人生の晩年を生きる現在のつらさ、悲しさ、遣る瀬無さは何だろう。これまた、大馬鹿な思索(思念)である。そして、浮かべれば無尽蔵にある。数えきれない中にあって一つだけに限定すれば、いの一番つまり筆頭に位置するものはこれである。それはズバリ、わが身には「未来の日」がないことだった。これでは、雲を掴むほどに漠然しすぎる。何事にも、大袈裟すぎるわが悪趣味である。
未来! 実際にはそんな先々のことではない。いや、1年、あるいは2年、遠くて3年先に予定されている、様々な催し物(行事日程)が、一つ一つ無縁になりかけていることである。メデイアの習性として日々、先々の確かな行事日程や、大まかな予定を伝えてくる。ところがこれらは、もはや無意識ではなく、意識して聞き流さなければならない。私の場合、そのたびに行事にかかわる愉しみが消えてゆく。どうにかそこまでは愉しみがつながりそうなのは、来年に予定されている「パリオリンピック」くらいである。これとて、確かな命の保証はない。
わがファンとする阪神タイガースは昨年、18年ぶりに日本一の栄誉に輝いた。そして現在は、二連覇を目指して、開幕前の春季トレーニングの真っ只中にある。しかしながら二連覇はもとより、あと一回の優勝さえ、わが目では見えそうにない。最も恋い焦がれている中にあって、これまたわが目では見えそうにないのは、母校の「箱根駅伝」における優勝である。悲願のごとく掲げている「ひぐらしの記」、「単行本、夢の100号」の実現には、肝心要の「わが命」が足りそうにない。望んでももとより叶えられないことを望むのは、結局、わが欲望の悪あがきであろう。年老いて、自問にたいする自答を掲げれば、心中、切なくなるものばかりである。だから、もうやめよう。歳月日時はぐるぐる回り、まもなく夜明けが訪れる(5:32)。継続だけが取り柄の文章は、つらい作業である。歳月日時の速めぐりに負けず、心中、妄念がぐるぐる駆けめぐる。